何かが体の上に覆い被さっているような違和感で目が覚める。
ここは……保健室。
そう、私は確か6時間目の生物の実験中に貧血で倒れて……。

「あ、起きた」

声のした方を見ると制服をだらしなく着こなした学校で噂のイケメン王子。




……が、私の上に跨っているのが見えた。



「な、なにやっ……」

言葉を言い終える前に彼は私の唇を奪う。
少し開いた私の上の歯と下の歯の間に彼のモノだと思われるザラザラした舌が入ってくる。

「んんっ……!?」

誰かに助けを求めたいけれど上手く声が出ない。
声を出そうとすると、なんというか……少し、やらしい声が……。
彼の舌と私の舌は絡み合い頭が溶けそうになる。
今まで男性とキスなんかしたことのなかった私は彼の思うがままだった。
彼の香水の匂いが頭を麻痺させていくようだ。
彼は気が済んだのかキスをやめ私の顔を見つめ始めた。


冷静になる私。




な、なんなのこの人ー!?



恥ずかしさと怒りの入り混じった感情に翻弄されていると彼は私を優しく抱きしめた。



「ごめんね、あんまり可愛くて我慢できなかった」



そういうと彼は優しく微笑んでキスをした。
さっきとは違って思わず胸がキュン、となる優しいキスだった。



いや、キュン、となってどうすんの私!



「あ、あのですねっ!?」


彼に何か言ってやろうとしたが、「ん?」と目を細めて聞いてくる彼があまりにも格好良くて。

さっきこの人とキスしてたんだ、と考えてしまい、何も言えなくなった。


「ごめんね、やだった?」


「やだったっていうか…」


「あ、即答で嫌って言わないんだね」

「え、あ、いや、その…」


正直にいうと嫌ではなかった、というか
なんというか、その。


「気持ちいいでしょ、キス」

「……っ!?」


そういうと彼は「またね」と言ってカーテンの外へ出て行った。