「ましろ、少しでいいからたてるか、俺がおぶってやる、だから……」

「い、い…」

「何がいいんだよ!そんなに苦しんでるくせに!」

「だ、いじょうぶ…、なおる、少し、やすめばいいから……」

強がっているのか、それとも本当なのか。その表情は苦しそうだけれど、本人が言うのなら本当に大丈夫なのかもしれない。
そう、優夜は一瞬迷った。迷って、ぐっと唇を噛みしめて。

「いーや!馬鹿言うなよ!お前の嘘なんかお見通しだっつーの!!」

「ひゃっ、な、に、」

「やせ我慢もいいけどな!こういう時ぐらい我慢すんな馬鹿!」

がっと彼女を抱きかかえ、叫ぶ。

「好きだっつったろ!お前が苦しむ姿なんざ見たかねえよ!!」

「ぅ、ゆう、」

ましろが自分を呼ぶ声は、そんな苦し紛れじゃなくいつもの凜とした声が良い。それだけの為に、優夜は頑張ることにした。
ましろは身じろぎをする。降りようとしてるらしい。
それでも、抵抗にすらなっていないようなその動きに、優夜はふぅ、と一旦自分を落ち着かせる為に息を吐いて。