「ここ、立ち入ってはいけないって言われてなかったか?」

「大丈夫だよ。私はこの森が分かるもの」

「そうなのか?おまえが?」

「うん、ここは小さい頃から通ってたんだ。最近は、あまり来れてなかったのだけれど」

今日は調子が良いからね、と彼女は呟いた。

「調子が良い…?おいましろ、それってどういう」

「ほらゆう、そろそろ着くよ」

「は…?って、う、わっ!?」

優夜の言葉を遮るようなましろの声がしてふっと前を見ると、唐突にぶわりと風が吹いて、思わず優夜は顔を腕で塞ぎぎゅっと目をつぶる。
周りは木ばかりで風なんて吹かないはずなのに、と思い、疑問に思ったそれを解決するべくそろりと目を開けた。