私は、こみ上げてくる怒りを押さえながら、そそくさと車を運転し、帰宅した。


私は鞄をダイニングテーブルに投げつけた。


「もう、何なの?奏音、何で疑うの?あんなの親友なんかじゃない!」


私はなんの迷いもなく、スマホを手に取り、翼に電話をかけた。


「もしもし、翼」


「どうした?こんな時間に?」


「妊娠、嘘ってバレた…奏音、最初から信じてなかったんだよ。私に診察券や母子手帳見せろって。挙げ句、妊娠検査薬まで出してきて……」


「え?それでどうしたんだ?」


「検査薬投げつけて帰って来たわ」


「馬鹿だな、お前、何で演技し続けないんだよ。心配だから、今から行く」


「うん、早く来て」


私は深いため息をもらす。ずっと順調に来てた作戦が山場を迎え崩れ落ちた。


「ふぅーやってらんない」
私は冷蔵庫から、缶ビールを取り出し勢いよく飲み干した。


「ああ、もう一杯」
私は今度は缶チューハイを開けた。