「…奏音、ありがとう」 「里穂、今は何も考えなくて良いから。私、一緒に考えるから」 私はなかなか良い言葉が見つからず、躊躇っていたが、必死で励ました。 私はタクシーを拾った。 「里穂、気をつけて」 「…うん」 里穂は泣き止んだものの、終始無言だった。 タクシーの中は、ひっそりと静まり、3人の距離は遠かった。 私はその間、こっそりと翼にLINEをした。 『今から里穂を家に送って行くね。また連絡します。そちらは大丈夫?』