「里穂、産みたいよね?」
里穂はコクリと頷いた。


「モデルの仕事は、出産後でも出来るじゃん」

「奏音、ただこんなチャンスは出産後にはもう二度とないよ」

一流モデルをずっと夢見ていた里穂を知ってるだけに、その気持ちも理解は出来た。


すると、翼がポツリと言った。

「迷うなんておかしい。玲於しっかりしろ。男だろ」

翼は真剣に2人を見つめて話を続けた。


「俺なら、どんな状況でも愛してる女なら、産んでもらいたい。玲於は自分自身の気持ちはどうなんだ」


「俺は、正直、里穂の夢を応援したいんだ」

それは、明らかに出産を拒んでいるように聞こえた。


里穂は目に溢れるほどの涙を浮かべた。


「里穂、大丈夫?」
私はハンカチを差し出した。