「はい、お疲れ様」
里穂のネイルは、鮮やかなセクシーな輝きを見せた。

「ありがとう、奏音、可愛い」

「うん、今の季節にぴったりだね。」


「お、いいね」
横で見ていた翼も黒い眼鏡を光らせながら覗き込むように言ってきた。


「ありがとう。じゃあ奏音、翼、またね」
里穂はテンション高めで飛び跳ねながら帰って行った。



「次、俺の番?」
翼は、ワクワクしながら聞いていた。


「えぇーちょっと待って。予約状況確認してみる」

私は立ち上がり、カウンター奥にあった予約表を見た。



あ、ダメだ。
すぐ予約入ってる。



「ごめんね、翼。私はちょっと予約入ってる。他の担当者なら……」
翼はすぐに私の言葉を遮った。


「奏音じゃなきゃ嫌だ。じゃあまたにするから。今夜、仕事終わったら、連絡する。奏音の家行くからね」

翼は眼鏡をかけ直し、さらりと答えた。


えぇー?
話し合わせてくれたのは嬉しいけど…
家はヤバい。
ダメだよ。

覚悟決めるしかないかー