その時、颯爽とオシャレなスーツを身にまとい、黒い眼鏡を光らせたイケメンが、ネイルサロンに入ってきた。


や、やばい…
タイミング悪すぎ…


「あれ、里穂ちゃん、久しぶり」


「あ、こんにちは。今日もデートなんだってー羨ましいな」
里穂は素直にそのまま伝えた。


「いらっしゃい、翼。き、今日約束してたよね?」


お願い。
そういうことにして…


「今日?ああ、今日は、奏音の家に行くかな」
翼は話を合わせてくれたが、家に行くとか言わないで…


「そっか。ラブラブなんだね。2人は」


「ん?なんか玲於とあったの?」
何とも敏感な反応。


「翼、知らない?玲於、浮気してるでしょ?」
直球で聞く里穂は本当に逞しい。


私はただの傍観者。


「いや、知らないな…そんなに怪しいのか?」


「うんうん」
大きく頷く里穂。


「わかった。俺も注意して見ておくよ」
翼は里穂をいたわって声をかけた。


「ありがとう、よろしくね。あと、奏音もよろしく」
里穂は私の方に目をやり、ニンマリしながら言った。