「帰って…ねぇ、帰ってよ」
私は声を荒あげた。


「奏音ちゃん、可愛い顔が台無しだよ。また来るね」
玲於はそう言うと、静かに部屋を出て行った。

なんなの?
意味わかんない。
どうしよう…
私、キスしちゃった……




ブルブルブル

「翼だ…」
私は慌ててスマホを握る。

「もしもし、奏音、大丈夫?今からそっち行こうか?」
翼は申し訳なさそうに言った。


「あ、ああ、大丈夫……でも、会いたい…かな…」
私は玲於との出来事を払拭したくて、翼にそう告げた。

「わかった。家の住所教えて」
優しく言う翼。

「あ、ああ、外でいいよー」

「もう近くにいるから大丈夫。教えて」

「えぇっー」

「ん?どうした?」

「あ、大丈夫。近くに公園あります?そこまで行きます」

「ああ、わかった」



私は、ただひたすら公園に向けて走って行った。