いつもなら、カーテンの隙間からの眩しい光で朝、目を覚ますのだが、今日は違った。


隣りがうるさい。

私は、思わず、壁に耳を当てる。

間違いない。引越し屋さんの声。

玲於?
本当に玲於なの?


私は、ゆっくりと紅茶を飲む時間を省き、そっと扉を開け、隣りの様子をうかがった。


「よっ、おはよう」


し、しまったー
見つかっちゃった。

「お、おはようございます。本当に来たんですね…」
部屋着のままであることをすっかり忘れて、扉の外に出てしまった。


「奏音ちゃん、何その格好?めちゃめちゃ可愛いんだけど…」
玲於は、マジマジと私を全身眺め、笑いながら言った。


「あっ」


私は慌てふためき、部屋の中に逃げ込んだ。


いやぁーん
こんな姿見られちゃった…
しかも、親友の彼氏に。


落ち着け、落ち着け、私は自分に言い聞かせた。そして、私は大きく深呼吸した。