里穂のマンションの前に私は、国木田翼の妻として、報道陣の前に現れた。


想像を絶するリポーターやカメラに、私はおのめいた。向けられるたくさんのマイクとフラッシュ。

一般人の私には刺激が強すぎ、頭がクラクラした。

「なぜ国木田さんの奥様がRihoさんのマンションへ来るんですか?」

「国木田さんとは離婚寸前だったんですか?」

「この不倫報道を聞いてどう思われましたか?」


私は一言だけ答えた。

「里穂は私の親友です。主人とは上手くいってます。不倫なんてありえません」




私はそう言い放ち、里穂のマンションに入り、裏口で待っていた玲於の車に乗り込んだ。


「里穂、大丈夫?」


「…」


「玲於、行こうか?」
私は目をチカチカさせながら、言った。