私はとりあえず荷物はそのままにし、必要なものだけ持参して玲於の家へ向かった。


「ここだよ」

玲於は例のマンションからは引っ越し、オシャレなタワーマンションに引っ越していた。

夕日がさらに綺麗に目の前のタワーマンションを明るく神秘的に照らしている。


やはり一流モデルになると色々変わるよね。
玲於はサングラスをかけたまま。


私達は35階までエレベーターで、上がった。


「入って。ゆっくりしろ」

高い所からの景色にすっかり慣れてしまった私は、綺麗に見える夕焼けをただ呆然と見てるだけだった。


「奏音、久しぶりに紅茶飲もう」

玲於の優しさに思わず涙が出てしまう。


「ありがとう」
私はそう言いながら、黒いソファーに腰掛けた。
翼の部屋とは真逆で、部屋は黒色に統一されていた。

目の前にある鏡の扉越しに見える玲於の颯爽とした柔らかな姿。
夕日に反射して、サラサラのブラウンヘアーが綺麗に光を放っている。


私は玲於の姿をじっと見守る。


「はい、今日のは飛びっきり美味しいぞ」


「ありがとう。いただきます」
とってもいい香りに私は酔いしれた。


「お、美味しい……」


「奏音、俺はこの後仕事あるんだけど、1人で大丈夫か?部屋は好きに使ってくれたらよいから」


「うん。わかった」
私はコクリと頷いた。


「行ってらっしゃい」