「俺とずっと一緒にいよう」
玲於はあどけないキュートな表情で優しく語りかけた。

私は、恐怖から身体が冷えきりまだまだ正常な判断が出来なかった。


「……ありがとう」


私は思考回路をリセットした。


「大丈夫。私は1人でやり直す。頑張って生きていく。玲於、今までありがとう」


「奏音、何言ってるんだ?まだまだ危険だ。俺は心配なんだよ」


「玲於も今は有名人なんだから、迷惑かけれない」


私の存在は仕事の邪魔になるよ。
変な噂たてられちゃうよ。
玲於にはもっとふさわしい人がいるよ。


「違う。奏音、間違ってる。奏音は俺の生きる源なんだ。頼む、そばにいさせてくれ。一緒に住むのが嫌ならまた隣人でもよいから」


玲於の私を迎え入れてくれる優しい言葉に私は心がやはり揺れてしまった。ある意味、当たり前だ。たった一日で全てを失ったのだから。


「玲於、助けて。本当は甘えたい。甘えたいよ」


「奏音…」


「玲於…暖かい」
玲於は、私を全身でがっしりと抱きしめてくれた。私の心が少しずつあったまっていく。


「この荷物、そのまま、俺の家に運ぼう。ここに住むのは流石に嫌だろう」


「……ぅん…嫌」


翼が用意したマンション
里穂が乗り込んで来たマンション
こんな所に住める訳がない。


玲於、ごめんなさい。頼る人私は玲於しかいない……