里穂はそう言うと、大きな鞄から、大きな封筒を取り出した。


そして、2枚の用紙を取り出した。



「え?」



それは、文字で埋め尽くされた[離婚届]と[婚姻届]


空欄は、[離婚届]の一部分だけ。つまり、私が書くべき場所だけ。



里穂は、「離婚届の欄、書いてくれる?見てのとおり、翼のサインは、もうあるから。これ、奏音が書いたら、私と翼は婚姻届出すの」淡々と冷ややかに言った。



「どういうこと?何で?」


「あんたは翼に捨てられた。ただそれだけよ」


私は、鼓動が高まり、体内に熱が溜まって、呼吸が上手く出来ない。


「な、何で?何でこんなことするの?」


「私は、奏音が大嫌いだからよ」

私はあまりにも真面目に直球で言われ、酷い衝撃を再び受けた。


「……私は、私は、里穂に何かした?私達は親友じゃなかったの?」


「ふっ、親友?ありえないわ」

里穂は大きく足を組み、イライラ度を高めた。


「いいから、早くサインしなさいよ」