「奏音、あのな、日曜日の夜中に里穂はうちに来たんだ。ものすごい怒ってな。で、言ってた。翼と私は結婚するつもりだったって」


「私は翼から、里穂が私と翼の結婚を阻止しようとしていたのは聞いたわ。やっぱりそれだけじゃなかったんだね」

私は自分でも驚くほど冷静にいられた。
里穂に色々言われるうちに免疫がついたのだろう。


「で、よく聞け。里穂は俺に手を組まないかと誘って来たんだ。俺は奏音、里穂は翼を取り返すために」


「な、何それ?」
さすがの私もこれには恐怖を覚えた。


「な、何で?私、里穂に何かした?えぇー」


「正直に言う。里穂はお前を痛めつけたいみたいだ。里穂には目的が何かあるようなんだ」


え?
何で?
私達は親友だったはず。
私は里穂を怒らすようなことしたんだろうか?


「目的?何それ?私は里穂に何かしたの?何で?」
私は急に悲しくなってきた。信じていた親友からの裏切り……


「俺もわからないが、それを探るためしばらく里穂の指示に従ってみる。奏音を守るためだ」
玲於は男らしくキッパリと言った。


「大丈夫なの?玲於をこれ以上巻き込めないよ。きっと私と里穂の問題なんだよ」

私は衝撃のあまり、全て自分で抱え込もうとした。私が原因なのだから。



「いや、奏音は俺が守るから。とにかく里穂には気をつけろ」