「翼、どういうこと?里穂と何があったの?」
私の鼓動は高鳴る。


「心配かけてすまない。里穂は俺と奏音の結婚を阻止しようとしていたんだ。それで、今日市役所にあいつは来るつもりでいたんだよ。俺は正直里穂にまとわりつかれ、迷惑してたんだ。黙っててごめん。里穂は奏音の親友だから、なかなか言えなくて」


「……そうだったんだ。私も正直に言うね。私は翼は里穂が好きなんだと思ってた。だから、ずっと入籍ためらっていたの」


「そうか、心配かけたな。ごめんな」


翼とのわだかまりが溶け、私の頭の中はまるで風船のように軽くなった。


「奏音、もう不安にさせたりしないからな」


「うん。信じてる」


翼は、私を温かく抱き寄せた。