「いらっしゃいませ、国木田様、お待ちしておりました。こちらに用意出来ております」


既に翼は、行きつけのショップに結婚指輪を発注してあったことに私はまた驚いた。


「おめでとうございます。こちらでございます」
店員さんは満面の笑みで私達を歓迎している。

「ありがとうございます。奏音つけてみて」

私は手放しに喜べなく、顔を強ばらせながら、豪華な指輪に薬指を通した。


「いいな。似合ってるよ」


「す、素敵。つ、翼もつけてみて」


翼はスラリとした薬指にサッとつけた。


私達は2人手を並べた。
見事に2人の指にマッチして鮮やかに指輪は輝きを放っていた。
そして、お互いに顔を見合わせ、これだと納得した。


私はすっかり結婚指輪を気に入ってしまった。

「つけて行かれますか?」


「はい。お願い致します」
翼は満足げに答えた。


「ありがとう、翼」
私はつい嬉しくなり、お礼を言った。


翼は私を本気で愛してくれている?
じゃないと、こんな高い指輪買わないよね?
翼を私は信じてよいのかな?