翼は約束通り、10時に私を迎えに来た。
私は適度な緊張感で満たされ、ゆっくりとエレベーターを降りて外に出た。
今日もキラキラした太陽に反射し、白いベンツが一段と輝いている。
「行こうか?」
翼は爽やかな笑顔を私に見せた。
「うん」
「奏音、結婚指輪なんだけど、先に買いに行こうか?」
私は翼の何気ない一言に驚いた。
え?
結婚指輪買うの?
ってことは、入籍は本気なの?
私はとても困ってしまい考え込んだ。
「奏音?どうした?」
「あ、うん、いいね」
私はとりあえず流れるまま了承した。
「いよいよ夫婦になるんだな。なんだか照れるな」
翼は演技とは思えない素の翼に見えた。