「白石さんも、彼氏がいるって聞きました」

一瞬、寂しそうな顔をした白石さん。

「いるよ。結婚できない人だけど。だから、羨ましい」

どういう事だろう?
私が首を傾げたのを見て少し笑って、白石さんは箸を置いた。

「さて、午後もがんばるかな。彼女ちゃん達もがんばれ!」

そして、トレーを持って颯爽と去っていく。
その後ろ姿を見送りながら、白石さんはもしかしたら、悲しい恋をしているのかもしれない、と思った。

「白石さん、いい人なんだね。できれば、幸せになってほしいね。」

結花も私と同じ事を思ったようだ。

誰かが幸せでも、その裏では、誰かが傷付いているのかもしれない。
みんなが幸せ、なんて出来ない事なんだろうけど。
でも、願わくば、みんなが幸せになれますようにーーー。