「おはよう、小野」

「…おはよう」

1ヶ月で分かったこと。小野は朝が弱いこと。

1つ、大きなことを知ったような気がしてドキドキした。

「やだー、また岡田が小野さんと話してるよ」

「小野さんが可哀想」

「もしかしたら付き合ってんじゃねぇの?」

だが、変化は俺だけじゃなかった。周りは突然のように変化していった。

「あのさ、何が良くて私に付きまとってるのか分からないけど。からかってるなら辞めてね」

上履きを素早く履きながら、真顔で小野は呟いた。

めんどくさいなぁ、と言うように頭をガリガリと掻いて「辞めてね」ともう一度言うと、クラスにゆっくり歩いて行った。