ガッタガタに震える手で何とか鳩サ〇レを渡し、すぐに自分の家に戻った。


自分で言うのもあれだけど、1秒くらいで戻った自信がある。


それくらい、彼は恐ろしい人なのだ。





九条冬真(クジョウ トウマ)。

私の通っている高校でこの名前を知らない人はいない。

特徴的な襟足に入っている深い赤色のメッシュ。十字架のシルバーピアス。異常なくらい大きい身長。


1人で隣の高校のヤンキー達を全滅させただとか、ヤクザとつながってるだとか、にわかには信じ難い話が多い。



だけど、私はこの目でしっかりと見たのだ。


人形のようにバタバタと倒れているヤンキー達がいる中で、1人立っている九条冬真の姿を。