18歳の私にはこの祐之介の手紙は辛くて堪らなかった。

まだ好きだった祐之介に思い出と気持ち、謝罪とこれからの自分が1ミリもいない未来を記されていた手紙を読んで胸が痛く、早くこの辛さから抜け出したくて、新しい恋をしたくて堪らなかった。


だけど、28歳の今の私が目にするこの手紙は何だか切なくて堪らない。


あれから沢山の恋をした。


祐之介以上に想った相手も何人もいたし、それ以上に想えない人もいた。

今の私は100%断言できるくらい祐之介に未練なんてない。


でも、あの頃…学生時代の全てを祐之介に捧げたあの頃の気持ちを思い出すと切なくて堪らなくなる。

きっと思い出す度にこの切なさが無くなることはないだろう。


「青い春だ……」



ゆっくりと祐之介の手紙を閉じると入っていた白い封筒に戻して缶の中に入れた。


そして今度は10年前に書いて入れた自分の手紙を開く。


「なに……これ」



目にした瞬間、声を出して笑った。

その声はママが驚いて走って来るくらい大きな声で笑った。


「何事っ!?」


「あー、ごめんごめん。ただ笑っただけ」


「庭でそんな大声出さないで!ご近所に迷惑でしょっ!」


「ごめん、ごめん」


怒って奥の部屋に戻るママに苦笑いで応えると、また視線を手紙に戻した。

正直書いた時の記憶が泣きながら書いたこともあり、あまり覚えてなかった。

だから読むのが少しドキドキしていたけど、


「私、こんなに未練タラタラだったんだ…」



18歳の私が今の私に書いた手紙は祐之介を強く強く想った未練タラタラな文章が並んでいた。