伝説に散った龍Ⅱ












男のアホ面を凝視する。


















ーー汚物だ。



こいつは人間じゃない。



人間の皮を被ったゴミだ。



心の中で誰かが、そう呟いて



気がつけば































「ーーっ、ぐあっ」





私は男の顔面に
自分の拳をめり込ませていた。





「…何て?」





綺麗に決まったその裏拳は、容易に男の体を傾ける。





「もう一回言ってくれる?」



「いっ、てぇなクソ野郎!!」



「なに?」



「肉便器にしてやるっつってんだろうが」



「…やれるもんなら」



「あ?んだとこのアマ」





男の顔が真っ赤に染まる。






































私ももう限界だった。



この男の口から漂う悪臭に



この男の口をつく体たらくな雑言に



良くも悪くも身体が反応する。

































良くも“悪くも”。












「そういえば」



「なに」



「聞いたなあ、そういえば」





ーー黒龍にもう一人出入りしてる女がいるらしいって





「金髪で背の高い細身の女」



「…」



「お前のことだなあ?女」