伝説に散った龍Ⅱ













「烈には繋がった?」



「ううん。繋がんない」



「…ん」





柚がポケットから携帯を取り出す。



どうやら誰かに連絡を試みるらしい。



私はそれをぼーっと眺めながら考えた。





「…伊織」





痛々しい伊織の姿。



とりあえず病院に連れて行きたい。



あくまで変な薬を飲まされていなければ、の話だが。





「…ああ」





後ろで柚の声が鳴る。



どうやら烈はもう電話に出られるみたい。



柚は手早に状況を話して電話を切ると





「今から向かうってよ、アイツら」





背中を向ける私に、そう告げた。





「…何分くらい?」



「30分はかかる」



「…そっか」



「どうする?それ」





『それ』。



伊織をどうするか。
私も今考えていたところだ。





「…考えたんだけど」



「…」



「要は伊織を近藤に会わせないようにすればいいんでしょ?」



「…」



「近藤が来る前に病院に連れてっちゃえば良くない?」



「…」



「どっちみち伊織は怪我してるし、まあ柚もだけど」



「…」



「私が伊織連れてくから、柚はここで奴等のお出迎え。急に病院行くことになったんだ、ってことにする。どう?」



「…」



「聞いてる?」





早口にそうまくし立てた私に、
柚からの返事はなかった。


なにか嫌な予感が脳を蔓延る。



私は恐る恐る振り返って





「……嘘でしょ」






























絶句した。