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10分。
柚と別れてから約10分の時間が過ぎた。
奥からは相変わらず喧騒が聞こえてきているので、ひとまずまだ柚は立っているのだろう。
「…」
強いんだろうな、多分。
この数を相手にしても倒れない。
むしろ、相手の気配が減っているような気さえする。
…私は少し、彼等を見くびりすぎていたのかもしれない。
烈は出なかった。
この10分の間に三度ほど電話を掛けたけれど、三度目には繋がらないとの音声があった。
それでも、根気よくかけ続けるつもりでいたが
先程から、何やら同じ空間を動く気配を感じる。
これ以上音を立てれば、その気配の主に私まで気が付かれるのがオチだと思い、しばらく携帯は遠ざけることにした。
ーーそしてそのまま、20分が経過。
私は焦る。
柚に何かあれば、割とシャレにならない。
「……大丈夫、大丈夫大丈夫」
言い聞かせるように、小さく呟いた。



