「……あんま心配すんなって。俺は大丈夫だから」
「私、看護の知識なんて一切ないからね」
「…ここで待ってろよ、ちゃんと」
「怪我したりしたら警察と救急車呼ぶからね」
「約束だぞ」
私の投げかけには答えず、柚は口元の笑みを消して。
奥の方へと足先を向けた。
いつの時代も
不良というのは変にプライドが高い。
それは私もそうなんだけど。
柚を見てると、少し前の自分を見ているようで、なんだか懐かしい気分になる。
「…死なない程度に、ね」
「おう」
スタスタスタと歩いて行く、その背中をじっと見つめていた。
堂々していて、それでいてどこか畏怖の表情を併せ持つ。そんな背中。
…柚は違うね。あの頃の私とは。
「…全然違う」



