「……なに、それ」
───なにそれ。
膝が震え出す。勝手に。
その震えが全身を伝わっていくのに
さほど時間はかからなかった。
「なにそれ」
「セリナ」
「あたしずっと、ずっと、」
───ずっと、お前たちに嫌われたんじゃないかって。
「…うん」
「一生、顔も見れないんだろうな、って」
うまく言葉が繋がらなくて、
うまく呼吸ができなくて。
視界が微かに滲んでいく。
「…なんで、よ、」
「落ち着いて、セリナ」
「なんでそんな、今更優しく、っ」
棗の優しいハスキーボイスが、私の頭の中をぐるぐるとこだまする。
ぐちゃぐちゃだ。
なにがなんだかもう。
「なら、」
───あの日あいつらが私を突き放したのは。
チームを抜けると、このチームを捨てると言った私を
誰も追いかけてこなかったのも全部。
そこには大事な理由があった
とでも言うのだろうか。



