私のダメ押しにも、柚はなかなか首を縦に振ってくれなかった。頑なに。
それでも私は粘った。
「私にだって、譲れないことがある」
「俺らにもな」
「柚だって知ってるでしょ?私北見を蹴り飛ばしたじゃん」
「だから何?あの枝みたいな腕の女を飛ばした程度で、何が出来んだよ」
「自分の身くらい自分で守れる」
「…お前なんかただじゃ済まねえにきまってんだろ」
「っ、伊織が今この間にもどうなってるか分かんないのに!」
「だから諦めろって」
「邪魔ならしないから、絶対しない」
「…芹那」
「連れてってくれなきゃ、私は歩いて行く」
最後の手段だと思った。
私をどうしても帰すというのなら
ここから走ってでも行ってやろうじゃないか。
真っ直ぐ柚の目を見つめて言えば
「……だあもう、分かったよ」
柚は、心底面倒くさそうにそう答えた。
「よし」
無駄に喜んでいる暇もないので、
私もさっさと柚のケツで乗り込む。
「…芹那」
「ん?」
「終わるまで全力で隠れてろ」
「御意」



