伝説に散った龍Ⅱ
















ーー外は雨がぱらついていた。



だけどそんなの気にしていられない。



伊織に、なにかあったのかもしれない。

















私は柚を店内から半ば引きずるようにして連れ出し、状況説明を求めた。



しかし勿論、彼もさほど多くのことは分かっていないようだった。



考えられることはいくつかある。



が。

































ーー今考えなくてはならないのは、最悪の場合だ。





「私烈に折り返すから」



「頼む」





どうして誰も電話に出ないのか。



決まっている。



出られない状態にあるからだろう。





伊織だけが電話を取れたのは。



彼女の手に、幾分かの余裕があるから。






















『、芹那』



「っ、烈!やっと出た」



それは例えばそう。



何処か悪質なチームにプライベートを襲われ
非戦闘員の伊織を隠して烈たちが戦っていることは充分に有り得る。







そしてもう1つ。
























『お前今柚と一緒か?』



「一緒だけど、烈今どこに」



『それは後だ、柚に代われ』



「わかった」


















































ーー伊織が何らかの理由で一人、
彼等とはぐれてしまった場合。



その『何らかの理由』は



迷子になっただとかいう
そんな生易しいものでは無いはず。





























幼い頃から積み上げてきた経験でなんとか頭を回転させ



何やら神妙な面持ちで私の携帯を受け取った柚に目を遣った。