伝説に散った龍Ⅱ













時刻は午後14時半を回る。



時間が時間だったから
うどん屋は割かし空いていた。



ラッキー。



















「ーー食いすぎだろ」



「…うっさい」





私の前に運ばれてきた麺たちを見て柚が絶句する。



腹が減っていたのだ。
私は朝から何も食べていない。



かと言って



男の前で男の胃袋を超えたくもないような気もする。





「…いい食いっぷりだな」



「いっぱい食べる君が好きなの皆」





聞き慣れたCMのフレーズ。



柚が麺を啜りながら鼻で笑う。



店にあるたった一つの時計の短針が
「3」の数字を越えようとしていた。



…と、そこで



私たちはあることに気がつく。





「ーーあいつら遅くねえか」



「…たしかに」



「伊織からの連絡は?」



「……ない」



「まじか」



「まじだ」





たった今三時を超えた。



なのに、彼等から「今から帰る」の一言もない。



伊織や烈や、世那から。



少量の焦燥が、私たちの胸をつく。





「…何かあったかな」



「わかんないけど」



「襲われてたり?」



「ないない」



だって、烈や近藤が着いてるんでしょ?



「伊織が攫われたり?」



「ないない、…」



「…」



「あるかも……」



「…烈に電話するわ」