伝説に散った龍Ⅱ











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穴の空いたの腹をこれでもかと言うくらい唸らせた私たちは



ふたり、顔を見合せて



全国チェーンの某人気うどん専門店に出向くことにした。



やむなく柚の単車の後ろに乗った私。





「いいの?私女だけど」



「今更だろ」





聞くところによると、
この単車に女性を乗せたのは初めてだそうで。



腰に手を回すのすら躊躇っていると
逆に柚に腕を引かれてしまう。









ーー今更だろ、というのは



私が彼らの『仲間』だと
当たり前に認めてくれているような気がして



少しだけ照れくさかった。





「お前はこっち」



「え?柚がフルフェイスじゃなくて?」





柚に手渡されたのはフルフェイスの黒いヘルメット。



一方で運転するはずの柚は、なにも被らないつもりらしかった。



…思うに



いくら不良とはいえ
昼飯を食べに行くのにいちいち捕まっていたら元も子もないのではないだろうか。



私のそんな考えを察知したのか





「持ってないんだわ、これ以外」





柚は私を軽くいなして、バイクに跨った。