伝説に散った龍Ⅱ

















「……お前はどうなんだよ、芹那」



「ん?」



「ここに来たことはお前にとって『そういうこと』か?」



「んー…」





わざと考え込むふりをした。



実際には、
きっといくら考え込んだとて答えは出ないのに。





「そうだね」





柚が私から目を逸らす。



彼らの求める答えが何かは分かってる。





「まだ分かんない。私にも」



「…そっか」





分からない。
ここからいい方に転んでも、悪い方に転んでも。



私は多分黒龍と、そして狼のためにまだ立ち上がると思うから。



二股は出来ない。今はまだ。





不安げに揺れる柚の瞳を捕らえた。



小さな微笑が口をつく。





「楽しいよ」



「…、」



「ここは、とっても暖かい場所ね」



「…ほんとか?」



「うん。嘘は言わない。私」





これが今の私に出来る精一杯の答えだった。



楽しいことに変わりは無い。



柚が笑う。
私もつられて。



頭痛がいつの間にかどこかへ行ってしまったことに気がつく。








「頭治った」



「…えげつないエネルギーだな」



「お腹空いた」



「俺も。なんか食い行く?」



「…うどん」



「OK」