伝説に散った龍Ⅱ

















クククと





喉の奥の方で諒二が笑った。


















































「…ほら、分かってんじゃねえかよお前も」



「…やめてよ」



「まだ高校生のガキンチョのお前に」



「、っ」



「なんの責任も背負えない」



「やめてってば、」



「わかれよ、それくらい」




























まるで、私を嘲り笑うような音。



しかし、その表情を覗き込めば



諒二は冷たく、意地悪に



どこか優しい瞳で私を見つめていた。












































「責任っていうのは元々
オトナが背負うためのもんなんだよ」








お前にも色々あるのは分かってるけどな。と



諒二は続けて



先程まで私の体に籠っていた熱が
酷く穏やかに引いて行く。


















































「お前がそんな顔してまで背負うためのもんじゃない」



「……諒、二」



「やりたいならやってみせろよ、不良ぐらい」



「…っ、」



「お前を縛り付けてるその柵も、
馬鹿みたいだなって」



ーー俺は思うよ。






































ーー諒二は。



昔から、私の知る中で一番信頼のおける『大人』だった。



私が道を間違えれば手を引いてくれたし



ダメな事はダメだと
はっきり背中を叩いてくれた。



そんな諒二に拾われた私は幸せ者だなと



諒二に見つめられながら、私は呑気にそんなことを考える。







「……でも、諒二たちが預けてくれた伝統を」



「ん」



「私はあんな、簡単に、」



「うん」



「簡単に壊した」



「…だな」































蘇るのはあの日のこと。



流れる水の音が聞こえる。


















































『セリナ』



あいつの声が。



『炎龍』



脳にこびり付いたあの記憶を



『…炎龍』



残酷に、掻き立てる。