ーー諒二は見ていた。
私の目の、もっとずっと奥で
どうしようもないほどグラついている部分を。
彼には透けて見える私の真ん中。
私が私で分からないことも。
諒二は、曖昧にしておくことを許さない。
「…わかってるから」
「なにを?」
「もう私はただの円堂 芹那だよ」
「へえ?」
「大丈夫だから、別に」
諒二に心配されるようなことないでしょ。
私のその言葉は
既に切れかかっていた諒二の中の何かを
ーーブツリと、
引きちぎってしまったらしい。
「いい加減にしろ」
「…分かってるって」
「甘いんだよ、お前」
「分かってるってば」
「俺にまた教育をし直せと?」
完全に入ってる。
スイッチが。
不運にも
諒二のスイッチは、
私の何かをも道連れにする。



