私の存在が。
バレた。
誰に?
「誰、に?」
「県内の、ほぼ全チームに情報が回されてる」
「…全部?」
「…たしかだ」
少し熱を孕んだ声だった。
思わず体が固まった。指先まで。
どうしていいのか分からず
どう答えたらいいのか。
どう答えるのが正解なのか。
『バレた』
私にも、その言葉の意味くらいはすぐに分かったから。
ーー黒龍の、所謂『寵愛妃』として大々的に名を知られているのは
当然、今現在副総長の近藤とお付き合いをしている伊織ただ一人。
そのせいか伊織が彼らの溜まり場に顔を出すことはごく日常的な日課で、
近藤と出かける時以外、伊織にはプライベートなど欠片も無いも同然の状況だった。
私とでさえ
2人で遊びに出られる機会はほとんどなくなった。
それは、伊織が近藤の彼女になったあの日から
黒龍の中で、一度たりとも崩されたことの無いルールで
そして
金輪際、二度と他人に侵されることのないルール。



