「…わかった。お茶出すからちょっとまってて」
「ん」
ちらりと世那に視線をやった。
すると私と目が合うのを感じたのか何なのか、
世那の視線がすっと横にズラされたように見え、
ーーなんだろう。と
少しの不安が、脳を掠める。
ーーティーポットを触るのは随分と久しぶりな気がした。
烈が前に熱い緑茶が好きだと言っていたのを思い出して戸棚を漁ってみるとちょうど
某大手お茶メーカーのプレミアム緑茶のティーバックが待ってましたと言わんばかりに棚の前方に出てきていて、私はそれを手にとる。
お湯はすぐ沸く電気のやつ。
最近、何かある度いちいち鍋でお湯を沸かすことに力尽きて購入した。
「…世那と諒二は?」
「飲む〜」
「…諒二は?」
「俺はいい」
諒二が言う。
さっきまでなにか飲んでいたのだろうか。
シンクにも、テーブルにもコップの残骸は見当たらないけれど。
「なんで?喉乾いてるでしょ」
「いや」
「変なの」
「俺は退場だよ」
「え?」
「本郷が三人で話させてくれってよ」
そんな諒二の言葉に少し驚いて
沸かしたお湯を丁寧にポットに移し替えながら私は一瞬、烈を見つめた。
その表情には少しの温度も感じられない。
冷たい
それでいて綺麗な横顔。
烈は一言、諒二に
「すんません」と声をかけ
それに、
諒二は片手を上げながら
「わかってらあ」と小さく呟いて、
財布と煙草を手に玄関へ歩いて行った。



