なんだか悔しいが
世話になったことは事実なので
小さく、もう一度ありがとうと繰り返すと
満足気に微笑んだ烈は、食器をシンクに運んで行った。
私は、その大きな背中を見て思う。
ーーどうして、ここまで違和感がないの。
烈がこの家に居ること自体異質なはずなのに
元々血縁関係のある世那の方によっぽどしこりを感じてしまう。
…一言で言うならば。
怖い男だ。
間違いなく、こいつが一番。
違和感がないのは
烈がそうしているからで
私たちにそう思わせる空気を纏っているからで。
あまりにも自然で
異様に不自然な
そんな、空気。
「ーーそれで」
「…うん?」
「俺はお前に話があるから此処にいる」
「…私?」
「ああ。結構大事な」
「大事な」
「うん」



