私とは一日違いの誕生日。
同い年で、それも男の子のくせに。
私にべったりくっついて、離れなかったあの頃とは違う。
…違うんだね。
『今日は収録あるって言ったでしょ』
『は!?聞いてねえよ!』
『ちゃんと聞いてなかったあんたが悪い』
『俺が聞いてないの知ってたんだったら何回も言えよ!』
『はあ?…まあいいけど、とにかく私は今日遊べない。ごめん』
棗との時間や約束を、仕事の都合上断ることも多かった。
それを何度言って聞かせても『嫌だ』と言って聞こうとしなかったあの頃の棗からは
とても、信じられないけど。
───変わったね。棗。
そう言って笑えば、棗はそんなことないと苦笑する。
当時私が見てた男にしてはちっちゃい背中も肩幅も
随分見ないうちに、こんなに大きくなって。
きっと声変わりもしたのだろう。
あの頃より何倍も重い低音が身体に響く。
…強いて言うなら、泣き虫なところだけはあまり変わらないみたい。
今もこうして何気なく私のことを担いでいるけれど
…力も、ずっと強くなっているはずだよね。
私のほうが何枚も上手だったあの頃。
でも、今は違う。
胸を張って『勝てる』と思えない。
今棗と喧嘩をしたとして、棗の全力を
私はあの頃のようにいなすことができるだろうか。
…わからない。
私が弱っていっている間にも
彼等は着々と強くなっていて
私が止まっている間にきっと、彼等は随分長い距離を歩いてきたのだろう。



