…え、私頭が硬いの?
不覚にもピキっときてミオを睨みつければ
ミオは私との並走をやめ、一歩前に出た。
「忘れられないとか、思い出すとか」
「…」
「お前辛気臭いんだわいちいち」
「はあ?」
私は辛気臭いの?
まあ、そんな顔をしていた自覚はあるけど。
酷いな。
フルフェイスの下、何となく口角が上がるのを感じる。
「また来ればいい話じゃないの」
「…、」
「散歩みたいなノリで。俺はそれでいいと思うよ」
「…ミオ、」
「もう、お前が来づらい場所にしたりしねえから」
「ミ、オ」
「…もう、狼に戻れなんて言わねえから」
ーー“不良”やれ、なんて言わねえから。
ミオが言った。
私はもう円堂 芹那でいいと。
もう、狼のメンバーには戻らなくていいと。
だから
「また来いよ、ゼッツー乗って」
「…っ、」
私は多分、また来てしまうのだろうと思う。
此処に。
棗がいて
雄大くんがいて
ミオがいる、この場所に。
「うん」
「やっと頷いた」
めんどくせえ女だよ、お前はほんとに。
「…ミオ、」
「ん?」
「ありがとう」



