伝説に散った龍Ⅱ

















「ミオは、」





ゼッツーの震えは心地よく私の身体に響く。



相棒。



ゼッツーはどうしようもなく私の相棒で



ミオは、





「私が、ゼッツー売るの止めてくれって言ったら」





どうしようもなく私の右腕だった。





「ミオは止めてくれる?」

























斜め前を走りながら、加えて小さく呟いただけの私に



それでもミオが優しく笑った感じがした。





「なんだ、それ」



「…自分でもよくわかんない」



「ほんとに売るのか」



「…その、つもりだったんだけど」





売るつもりだった。
つい一時間前までは。



ゼッツーがあるから私は皆を忘れきれないのだと。



この街を私がゼッツーで走り続ける限り、
彼等が私を忘れきれないのだと。



だから私は相棒(ゼッツー)とは別れるべきなのだと。



そう思っていた、のに。





「売るべきなんだろうなって、ずっと思ってた」



「ずっと?」



「あんたたちと離れてから、ずっと」



「随分先延ばしてきたんだな」



「そう、だね」



「…」



「駄目だった」



「、」



「ずっとコイツが、『捨てないで』って言ってるみたいで」





棗と会って



狼に来て



雄大くんに会って



ミオに会って



全部、全部崩れそうだ。



私が今まで強く抱いてきた固い決意が



全部。





「あんたたちにも、会うつもりなんてなかったのに」



「…」



「顔見たら、なんか」



「…」



「なんか泣けてきて」





多分、ずっと。



私もあんたたちを求めてたんだね。



分かったよ。
自分のことなのに、今までそこだけ霧がかかったようだった。



見えたんだ。



私は。



結局、此処が大好きで仕方ない。



馬鹿みたいに不良なこいつらが大好きで。





「『捨てないでくれ』」




大好きで、





「俺にも聞こえるから」





仕方ない。