伝説に散った龍Ⅱ














「ーーミオ、」





滞った空気の中、
それを打ち破る彼への呼びかけ。





「…ん?」





ミオは蒸した煙草を靴の裏に擦りつけると、その綺麗な黒髪を掻き上げた。



艶やかな髪が夜風に靡く。



私の姿が映る薄く褐色がかった双眸は、夜空など比にもならないほど美しかった。



妖しげに緩む口元が、
どうにも魅力的に見えて仕方なかった。





「走り、行こう」





困る。
これ以上、ミオに縋っていたら。





「は?今から?」





ーー私はきっと、此処に帰ってきてしまう





と、そう思った。



それで、瞬間的に口にしていた。





「うん。今から。日が昇るまで一緒に」





『ーー日が昇るまで一緒にいて』



そう言いそうになるのを、慌てて押し込める。