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「ーー何騒いでんの、雄大」
ふと聞こえてきたその声に、私の足が止まる。
「ミオ…お前今まで何してたんだよ」
「寝てた」
「はあ…やってらんねえよ」
「お、どうしたそれ棗か?酷いやられようだな」
「はあ…、ちょうどお前と入れ違いだけど女が来てよ。『棗を拾いました』って」
「女…?」
「ああ。棗が狼なのも、ここがアジトだってことも知ってたぜ。こんな物騒な場所に来て堂々としてるし俺の怒号にも物怖じしねえ。あんな女セリナ以外にいてたまるかよ」
「…へえ」
細く空いた入り口の隙間から見える、訝しげに眉を寄せ低く声を落とす男の姿。
ーー狼現総長、浅野 深臣。
「こいつ、セリナのことはどうしたんだか。セリナ迎えに行けっつったよな、俺」
長い間、私の右腕だった男。



