伝説に散った龍Ⅱ












「『良かった』はこっちの台詞だバカ」



「…え」



「………良かった…」














泣き声にも似たその声に
私ははっきりと覚えがある。



違うかもしれない。



私の思う“彼”ではないかもしれない。



というか、現実的にはそうでないほうがありがたい。























なのに



ほんの一瞬だけれどそうかもしれないと思えば。



どうしても、その考えが振り払えなくなった。



───この声、



この、香水



右腕に入った、大きな蝶の刺青。












































───なんで。





「なんで」





思わず、呆けた声が出た。
















































どうしてここにいるの。












































































────────(ナツメ)