伝説に散った龍Ⅱ












一つ間を置く。



入り口の扉を開ける頃には、心を決めなくてはならないから。




















…口調と声色を変えて。
私はセリナじゃない。



もうあの頃の私じゃない。



そう言い聞かせるように。












深い音を立てて開いた重い扉の向こうへ、真っ黒いフードをかぶって進む。




「…あ?誰だてめえ」














真っ先に私に気がついたらしい、狼六代目副総隊長。
嵐山 雄大(アラシヤマ ユウダイ)



見知った人だ。
後輩とも先輩とも似つかぬ



しかしそんな私を、実の妹のように可愛がってくれた人。





















ーー雄大くん。なんにも変わんないじゃん。



彼の頭を覆い尽くすほどの派手な金色。



鋭い、切れ長の眼。



とんがった耳に、十字架のピアス。



本当にあの頃と何も変わらないままの雄大くんを見ただけで、また涙が零れそうになる。



棗に出会って混乱しすぎたのだろうか。
涙腺が大分緩くなっているみたいだ。



なんて考えながら、そんな自分に失笑する。





「……何がおかしい」





いつになく喧嘩腰の雄大くん。



ーー狼に何かあったのだろうか。



なんて



私には関係の無いことだと意識を連れ戻す。





「…どこのどいつかも知らねえが、それは互い様か?」