伝説に散った龍Ⅱ
















───“冴”



という言葉にこんなにも諒二が反応するのは



彼を拾ってきたのが諒二だったから。



あの夜の責任を一番に感じているのもまた



諒二だから。




























私の狼が、壊れた夜を。










憤った様子の諒二。



私は一気に間合いを詰められ、胸ぐらを掴まれ引き寄せられる。



一歩間違えば唇同士がふれあいそうな距離。



にも関わらず諒二の行動に迷いがないのはきっと、



今この時、唇だのキスだのそんなのものは、
二の次に過ぎないから。





「もっぺん言ってみろよ、芹那」



「落ち着きなよ、」



「言ってみろっつってんだよ!!」





静まり返った住宅街に、諒二の怒号が響く。




























「『忘れちゃったの?』って聞いたの」



「…随分、ふざけたことを言うんだな」



「覚えてるんでしょう?」



「野暮なこと聞くな」



「じゃあ話は早いでしょ」







落ち着いた声音で言い放つ。



落ち着いたようで、悲哀を含んだその声で。



……諒二は、気づいただろうか。