伝説に散った龍Ⅱ













「…こうするしか、」



小さく呟く。
棗には聞こえていない。



もちろん、他の誰にも。



答える間もなく、私は私に問いかけてみる。



────本当に?



本当にこうするしかなかったの?



















































「…、わかんないよ……」





どうしようもなく苦しい。



身体の波長も、心の波長もめちゃくちゃで。



なんとか正当化しようとしたって無駄。



私自身、それを望んでいないから。



もし仮にこれが本当に完璧な答えだったのだとしても。



私には多分受け入れられない。





























「…随分遠いとこまで来ちゃったな」





ぽつりと呟く。



そんな状況で棗をここに放置しておく訳にも



いかない、よね。





「…どこから来たの、あんた」



「…」



「私が殴ったんだけど。答えてよ」



「…」



「知ってる。“彼処”から来たんだもんね」



「…」



「…あーあ、厄介小僧め」


























棗は多分もうしばらく起きられない。



ここには、他に人影もないのね。



皮肉なことに。



私は。





「…仕方ないか」

















































───棗を放っておけない。





「…、っ」





棗が起きてしまわないよう、静かに近づく。





「、重」





そして、また静かに肩に腕を回すと



家までの道のりを歩き出す。



結構な時間歩いていたのに、棗は一向に起きる気配すらない。



…ちょっと強く殴りすぎたのかも。



思わず棗の顔を覗き込むけれど、気持ちよさそうに目を閉じたままだ。