伝説に散った龍Ⅱ













───そんなに、泣かないで。



出て行って今にも彼を抱きしめてしまいそうになる衝動を、ぐっと堪える。
































駄目なのだ。



今出ていったら。
たかが外れる。確実に。



そうして私が葛藤している間に
棗の声は着実に私へと近づいた。






















































「…やばいな」





それに反応するように木から出ようとすると、



───ポキッ













微かなそれは













小さな音を、出した。



私が踏んだ細い枝。



その存在さえも今はただただ、憎らしい。