暴力に暴力を重ね、喧嘩に明け暮れる日々の中で出来上がった今の狼。
その中で唯一『友達』という名の関係で始まったのが私と棗だった。
でもだからこそ、
私が狼と縁を切るときには、一番初めが彼でなくてはならないと
それはずっと前から心に言い聞かせてきたことだった。
───なのに。
なのにどうして。
これ以上に辛いことはこの先いくつもあるはずで、
自分でもそれをわかってるはずなのに。
泣きじゃくる棗を背に
なぜか、涙が止まらない。
「戻って来てよ、セリナぁ…!」
「…、」
「こんなんがお前との終わりとか嫌なんだよ!!」
狼のメンバー同士だってことを抜きにしても。
私と棗は『友達』だった。
両耳を塞ぐ。
塞がずには居られない。



