どれだけ拒もうと
どれだけ忘れようとしようと頭にこびりついて剥がれない記憶が
全部、消えてしまえばいい。
いっそのことすべてを忘れられた方が。
その先の答えは出てこない。いつも。
「おい馬鹿セリナっ!
なんで、なんで話も聞こうとしねえんだよ!
逃げんな!逃げんなっ!!」
「…、」
「…俺等が憎いか?俺等が嫌いか!?」
「…」
「なんでだよ!、っ逃げんな、逃げんな馬鹿!!」
「、っ」
「俺等の関係まで壊れんのかよ!!せめて、
っ、せめて友達でいさせてくれよ!」
ーーなんとか言えよ!
どうしようもなく溢れ出す涙を拭いながら、
必死に嗚咽を噛み殺す。
駄目だ。
棗は駄目だ。
この子は。
私にとっても一番離れがたい。
棗は、昔からそうだった。
私への
執着とか、独占欲とかそういうのが一番強かった。



