伝説に散った龍Ⅱ





















少しでも気を緩めてしまば負けだと思った。



零れてしまいそうな想いが。



それが、喉元まで出かかっていたから。





























「俺は嫌だ」





伏せていた顔を上げて、棗が私をまっすぐ見つめる。



そして間髪入れずに





「一緒に、帰ろう」




そう言って、手を差し出した。





「、セリナ!」



「…、」



「俺の手、掴んで…」



「…棗」




























本心は。



本心はね。



───今すぐに、この手をとって笑いたい。



そしてもう二度と。



離したくない。



心でそんなことを思って、もう一度その手を見つめながら。





「ごめん、棗」





私は表情すら変えずに、重苦しく口を開いた。




































「──誰かが、責任を取らなきゃ」



そっと、踵を返す。







































背を向けた。






































彼等の無垢な想いから、冷たく
目を逸らした。